第3章 普及・推進に向けて 1 人
第3章
普及・推進に向けて
第2章の施策では,ユニバーサルデザインの考え方に基づいて,今後つ
くば市がどのようなまちづくりに取り組んでいくかの方針について説明し
ました。この章では,ユニバーサルデザインの考え方に沿った施策を進め
るうえで,参考となる取り組み例を掲載しています。これらの取り組み例
については,できるところから取り組んでいきます。
1
人
――すべては心のユニバーサルデザインからはじまるすべての市民が快適に暮らせるつくば市を実現していくためには,第2
章で取り上げた「もの」「生活」「情報」「まち」などさまざまな分野に,ユ
ニバーサルデザインの考え方を取り入れていく必要があります。しかし「4
まち」で紹介した駐車場・駐輪場と迷惑駐車・駐輪の例のように,たとえ
施設や設備が整備されても,利用する市民全員がユニバーサルデザインの
意味を理解し,行動しなければ,意味がなくなってしまいます。つまり,
ユニバーサルデザインを進めるうえで何より大切なのは,市民のみなさん
一人一人の心,自分以外の人を尊重し,思いやりと助けあいによってだれ
もが快適に生活できるまちをつくろうとする「心のユニバーサルデザイン」
を推進することだといえます。
つくば市では,すべての市民がユニバーサルデザインの理念を理解し,
行動できることをめざします。そのためには,幼児教育,学校教育,社会
教育などの生涯学習活動,すべての学習機会でユニバーサルデザイン教育
を進めていきます。また,教育施設以外にもユニバーサルデザインを学ぶ
場,機会,施設づくりを進め,ユニバーサルデザインを主体的に普及促進
していける人材や組織の育成を図ります。
サルデザインを理解するためのプログラム導入を推進
• 雇用者,労働者双方のユニバーサルデザインに関する意識教育の支援
• 市職員へのユニバーサルデザイン研修会の実施
• つくば市の施設やまちの使いやすさ,不便さを探して考える“ ユニバー
サルデザイン探検隊” のような取り組みを推進
• さまざまな人が参加・交流し,学ぶことができるイベントの開催を支援
• 高齢者・障害者疑似体験活動,バリアフリー・ユニバーサルデザインの
モデル住宅など,不自由さ・便利さを実体験できる活動を推進
• 手話や点字・外国語等の講習会を開催することで,異文化や異なるコミ
ュニケーションの理解を促進
• 手話通訳者や要約筆記者,点訳者,音訳者,外国語通訳者など,専門的
な情報保障を担う人材・組織の養成
• 筆談や手話・多言語での対応を進めるため企業内講習会の奨励
2
も
の
だれもが「もの」を使いやすく暮しやすい生活環境をつくるためには,
市民自身がいろいろな活動をとおして学び,知り,考えることが大切です。
そのために,だれもが楽しく参加できるユニバーサルデザインを知るため
の場づくりをめざします。
• ユニバーサルデザインに配慮した「もの」を触って使って体験できる場,
使い手とつくり手とが一緒に考える場,使いやすさの調査や評価検証が
できる場,使いやすさの相談ができる場の設置
• 子どもから大人,障害のある人,さまざまな市民がつくば市のユニバー
サルデザインを考えるユニバーサルデザインコンクールの開催
• 市民と研究機関・大学・企業など,使い手とつくり手とが一緒にものづ
第3章 普及・推進に向けて 3 生活
3
生活
(1)防災・安全
だれもが安全で安心に暮らすために,自然災害,交通事故,犯罪などの
問題を予防するしくみと環境を整え,災害を受けた場合にもすべての人人
が支援を受けられる体制づくりをめざします。
• 市民参加による災害や危険を予防するための防災マップづくり
• 防犯灯の設置,見通しの確保などの環境整備
• 「防災ガイドブック」をつくば市の実情に即したかたちで整備
• 情報バリアフリーに配慮した警報システムや避難経路地図,避難計画の
作成
• だれもが参加できる防災の勉強会やセミナーを自主防災組織や自治会活
動などと連携し地域密着型で企画・実施
• 食料等の備蓄計画
• 「心のケア」や経済支援を含めて,すべての被災者が公正な支援を受け
られる災害復旧体制の整備
(2)健康・医療
安全で安心な生活のために,だれもが利用しやすい生命・健康を守るた
めの健康維持・医療のシステムづくりを目指します。
• 健康維持・疾病予防のための健康相談体制,健康教室・運動施設などの
整備
• 疾病や障害の早期発見・早期療育体制の整備
• ライフサイクルに対応した各種検診体制の充実
• 小児救急外来の整備
• 特別な医療ニーズをもつ障害者のための医療・歯科医療のためのシステ
ム整備
(3)住宅
だれもが安全で安心して住みつづけられる住宅と生活を支援するサービ
スシステムをつくり,地域コミュニティの形成をめざします。
• 高齢者・障害者世帯に配慮した住宅の普及
• 高齢者のグループリビング,認知症高齢者のグループホーム,知的障害
者のグループホーム等の整備の促進
• ユニバーサルデザイン,バリアフリーデザインの住宅の考え方,設計基
準・建設基準の作成と普及および建設の促進
• バリアフリー体験モデル住宅の建設
• 住宅改修のための相談,資金補助などのシステムの確立と普及
• 住まいに関する総合的な情報提供窓口・相談体制の充実
• 子どもや障害者・高齢者の見守りシステム,災害時避難支援システムな
どの安全で安心なネットワークの形成
(4)育児・保育
国籍や障害の有無を越えて,児童がふれあえる保育の場の整備推進を図
り,安心して子育てできる環境づくりをめざします。
• 施設面でのユニバーサルデザイン,バリアフリーデザインの導入推進
• 多機能保育所の設置推進
• 幼稚園預かり保育の実施支援
• 駅前保育サービス施設の設置促進
第3章 普及・推進に向けて 3 生活
(5)教育
すべての子どもに最適な教育環境を保障するための条件整備をめざしま
す。また,校舎のユニバーサルデザイン・バリアフリー化をめざします。
• ユニバーサルデザイン・バリアフリー化のための学校設備・環境の基準
をつくり,校内移動のバリアフリー化を進め,アクセシブルな学校への
改修を促進
• 小・中学校における特殊学級の設置,通級による指導の充実
• 普通学校における弱視学級や難聴学級の設置
• 障害のある子どもたちが地域の学校で学ぶために,教員や特別支援教育
コーディネーターの専門性を向上
• すべての子どもたちに情報が保障されるようなI T環境の整備・促進,ア
クセシビリティへの配慮
• 外国人がスムーズに教育を受けられる支援システムの確立,教育の国際
化への取り組み支援
• 地域の大学や研究所と連携したさまざまな公開講座や市民講座の開催
(6)労働
安心して働きつづけられる労働の場を保障するために,柔軟性のある多
様な労働形態を可能にし,適職探しの機会づくりをめざします。
• だれもが適職を探すことのできる就職相談・斡旋の場づくり
• 働きやすく生きがいを感じる職場づくりの普及啓発
• 働きやすいユニバーサルデザインの職場環境づくりの支援
• ユニバーサルデザインに関わるベンチャー等の創設支援
(7)介護・自立支援
• 多様な媒体による情報提供・発信,在宅でも受け取ることができる情報
システムの整備・活用など,だれもが必要なときに適切な「情報 」を入
手できるシステム
• さまざまなニーズに応えられる相談拠点の整備など,だれもが必要なと
きに適切な「相談」をすることができるシステム
• 尊厳を守る新たな施設サービス体系の構築
• 介護予防・リハビリテーションを促進する事業の充実
• 高齢者就労や生涯学習など,参加しやすい生きがいの場づくり
• 民間事業者・NPO・ボランティア・自治会など,多様な提供主体がサービ
スを行えるよう,介護への市民参加を促進
• 「家族介護慰労事業」「家族介護者交流事業」「はいかい高齢者家族支援
事業」などの介護者支援
(8)余暇・レクリエーション・文化的活動
つくばの自然や環境保全をテーマにしたイベント・遊び・体験の中から
学びあえる活動など,人と社会の輪を大切に地域社会と積極的に関われる
企画提案をめざします。
• 市民の主体的な活動を支援し,文化活動の場と施設を提供
• 高齢者や障害のある人が感じる不便をなくし,だれもが自然に参加し,
楽しく活動できる場を整備
• 高齢者と若者が交流を通じて学べる場やさまざまな人がともにつくるイ
ベントなどを企画(国際交流,市民文化祭,市民展覧会,講座,ワーク
ショップ,講演会,コンクール,スポーツ大会など)
• つくば市の各研究機関との連携によるイベントを推進(ユニバーサルデ
ザイン体験,ユニバーサルデザインアイデアコンクール,里山まちウォ
第3章 普及・推進に向けて 4 情報
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情報
つくば市で生活するすべての人が,いつでもどこでも必要な情報保障を
受けられる体制の整備をめざします。
• 電車・バス等の交通機関では,音声や文字・点字・多言語等の多様な手
段を用い,すべての人にわかりやすい案内表示を整備
• 民間の窓口やレストランにも,わかりやすい文字・点字・外国語による
案内・メニュー等を設置するほか,筆談や手話・多言語での対応を奨励
• つくば市で学ぶすべての人のために,手話通訳者や要約筆記通訳者の配
置,点字や多言語による案内等をとおして教育にアクセスできる機会の
提供
• 広報には,点字版・音声テープ版・多言語版を作成するなど,すべての
市民がアクセス可能な情報提供の充実
• 広報番組には,できる限り手話または字幕スーパー・音声解説・多言語
による解説を付加
• 市役所や病院等の公共施設に手話通訳者や外国語通訳者等の人材配置を
促進
• 高齢者や障害のある人にとって重要であるトイレの位置や点字ブロック
の有無,エレベーターの場所や特殊サービスに関する事項など,市内の
各 施 設 に 関 す る ア ク セ シ ビ リ テ ィ 情 報 や 支 援 の 受 け 方 に 関 す る 情 報を
容易に入手できるよう印刷物やホームページなどによる情報の提供
• 緊急時の防災無線のほか,日頃から印刷物やホームページを活用した避
難所情報,防災マップなどの情報を提供
• 現在,ホームページで行っている「つくば市防災WEB」の「防災TVニュー
ス」「災害地域地図表示システム」「災害地域検索システム」などのさら
なる改良・充実
• 自治会組織などをとおした地域ごとの相互支援ネットワークづくり
• プライバシー保護に配慮した登録制の災害時要支援者台帳などの整備
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まち
(1)まちづくり
ユニバーサルデザインの推進のためには,公共の既存建物の点検や新築
施設,道路整備のプロセスへの参加など,秩序のある市民参加が重要です。
つくば市は,このような市民参加型のまちづくりの推進・支援に努めます。
• 市民による「ユニバーサルデザイン評価委員会(仮)」の設置
• 「ユニバーサルデザインマップ」の作成
• 「ユニバーサルデザイン事例集」の作成
(2)道路
だれもが安全で快適に移動ができるよう,歩道・車道・横断歩道などの
見直しと改善の推進に努めます。
• フラット型もしくはセミフラット型歩道の整備推進
• 道路整備に対する市民ニーズの把握(調査やアンケートのみでなく,イ
ンタビューや会議などによる対話の実現)
• 歩行者が安全・安心・快適な移動を支援する「歩行者I TS
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」の整備促進
• 国道・県道・市道の道路管理者間の協議推進
• 路肩確保のための電線類の地中化の推進
• 野外照明の整備
1 歩行者I TS:携帯電話などを介して位置情報や経路案内を歩行者に知らせるシステム
第3章 普及・推進に向けて 5 まち
(3)公共交通
市内のどこに住んでいても,公共交通によって快適な移動ができるよう
すでにある交通網を見直し,だれもが使いやすい公共交通ネットワークの
整備推進を図ります。
• 公共交通に対する市民ニーズの把握(調査やアンケートのみでなく,イ
ンタビューや会議などによる対話の実現)
• 既存の路線バス・コミュニティバスの路線・ダイヤ再編
• 鉄道・バス相互の乗り継ぎを考慮したダイヤ再編
• ノンステップバス導入のさらなる推進
• 路線によるバスの形式やデザインの統一などの路線バス事業者との協議
推進
• タウンモビリティの導入などによる中心市街地の移動円滑化の推進
• レンタサイクルなどの移動補助設備の充実化
• デマンドバス・福祉タクシーなどの個人ニーズに対応した新たな公共交
通サービスの整備促進
• ファクシミリや電子メール・電話などのさまざまな情報機器による問い
合わせが可能な案内センターの整備
• 駐輪場・駐車場の整備促進
• つくば駅前ロータリーやバスターミナル・バス停の整備
• バス系統番号などバス情報の統一化,バスマップやホームページによる
情報の提供
(4)建物
だれもが使いやすい施設とは,事業者にとっても事業を展開しやすい施
設です。だれもが安全で快適に活動ができる建物の実現のため指針策定や
ユニバーサルデザインに配慮した建物の啓発,整備・改修への支援などに
• ユニバーサルデザインに配慮した建物設計指針の策定
• 「ユニバーサルデザイン事例集」などの作成
• 「ユニバーサルデザイン建築賞」の制定と実施
• すべてのひとにわかりやすい室内案内表示等の検討
(5)公園
多くの人の要望に対応できる選択肢をソフト・ハードの両面から提供し,
だれもが楽しめる場をつくることをめざします。
• みんなが使える多機能トイレの整備促進
• ホームページなどによる情報提供
• 障害のある人にも配慮した公園整備
• 設備の定期点検維持
• 緊急連絡用の連絡方法(ホットラインなど)の整備
• 市民とのパートナーシップによる公園の計画,整備,利用,維持,管理